「オルゴール=ムビラ起源説」を追う

「ヨーロッパで生まれたオルゴールは、アフリカのムビラが起源である」という説がムビラ好きの人々の間でまことしやかに言われています。確かに音色が似ているし、ムビラを自動機械化するとオルゴールになりそうな気がします。しかし、この説は本当なのでしょうか。

日本には全国にオルゴール博物館がなんと10以上もあります。よっぽどオルゴール好きな国民なんですね。「これなら音色が似ているムビラ好きが増える可能 性も高いぞ!」と一人でぬか喜んでしまいました。それはさておき、京都にある京都嵐山オルゴール博物館に、現存する世界で最古に作られたオルゴールが所蔵 されていることが判明。
京都嵐山オルゴール博物館のホームページ

そのオルゴールは1796年にスイスの時計職人アントワーヌ・ファブールによって制作されたもの。シリンダーという筒に突起をつけて金属の棒をはじき、音を鳴らす装置というのがオルゴールの根本アイデアです。

オルゴールの誕生までの歴史は下記サイトに詳しいですが、http://www.musemuse.jp/Musemuse_Comment/comment_prelude.html
概略すると、オルゴールの源流である時計の起源は、14世紀に発明されたイタリアのキリスト教会の自動鐘突き。筒型の突起により紐が動いて鐘を鳴らしまし た。それから小型化が進み15世紀にぜんまい式時計が生まれ、300年後にファブールが登場します。時計職人が作ったことからも分かるように、音が鳴るぜ んまい式時計から音を鳴らすためだけの装置「オルゴール」が派生しました。

現在は時計で有名なスイスですが、それ以前はフランスに多くの時計職人がいました。そしてフランスではファブールより前に調律した金属の棒をねじでとめて音を出す装置が既に存在していたそう。しかし、記録上はファブールのものがオルゴールの第一号です。

最古のムビラ(親指ピアノ)の記録はポルトガルの宣教師が15世紀末に残したモザンビークのもの。ヴァスコダガマにより、アフリカを希望峰からぐるっと廻 るインド洋航路が開拓されると、アフリカとの貿易も行われるようになりました。ポルトガルやスペインの商人は金や象牙が目当てでしたが、お土産として自国 にムビラを持って帰ったとしても不思議ではありません。それが時計職人の手に渡り、オルゴールの発明に結びつく技術革新を起こしたというのは時系列的には 矛盾ありません。しかし、大量に親指ピアノが作られている現在とは違い、当時は現地でも自分達用に作られていただけで、とても希少だったはず。数少ないお 土産のムビラがリスボンやマドリッドを経由してフランスまでたどり着くのは至難の業ではないでしょうか。したがってオルゴールの起源は残念ながらムビラで はなくて、教会の鐘である可能性が高いと当ショップでは考えております。もし、オルゴール起源説を裏付ける記事などありましたら、是非ご紹介下さいね。

「発明のアイデアに悩んでいたパリの時計職人が、偶然にも蚤の市で骨董屋さんの片隅に埋もれていたムビラを見つけ、これを時計に組み込めば、綺麗な音が鳴ると閃いた!」というのはロマンがありますし、歴史の不思議さを感じさせるストーリーではありますね。