ムビラと「ナチュラル・ハイ」の関係

「ナチュラル・ハイ」という「ハイになること」をテーマにした上野圭一氏の著作を紹介します。アメリカで代替医療を推進する医師アンドリュー・ワイル氏の 翻訳で有名な上野氏は鍼灸師。この本には50種類の様々なハイになる方法が説明してありますが、ここまで読んで何かヤバイ本に違いないと思ってしまった貴 方には、特に読んでもらいたい一冊です。

上野氏曰く、ハイになるというと「ドラッグ」によるハイに関連付ける人が多いが、ハイは皆が日常 的にも体験しているもの。現代医学が長い間「精神の異常な状態」として片付けてきたハイは1960年代後半以降カウンターカルチャーの隆盛や、アンド リュー・ワイル医師の著作などにより、本来の地位を取り戻しつつあります。それは人間のハイになろうとする衝動は正常であるということ。現代的生活ではそ の衝動が抑圧されているか、ビジネス化されすぎているのです。

社会に公認されて、多くの”消費者”が楽しむハイの代表例には「アルコール ハイ」、「買い物ハイ」などがありますね。でも、お金を使わなくてもいい気分になる方法はいくらでもあるのです。「ナチュラル・ハイ」は社会システムやビ ジネスに奪われているハイを自分に取り戻す為のガイドブックです。

「魂を売る」という古い言葉があります。”文明化”して進んだ暮らし をしていると思いこみ、お金だけが価値の物差しだと考えている人は、知らずに魂を売ってしまっている状態。そんな”消費者”のレッテルを貼られていること に気付いていない現代人は魂を自分たちに取り戻す必要があり、ムビラ音楽にはそれが出来ると確信しています。儀式、ライブへの参加者は手拍子を叩き、歌 い、踊り、無心で楽しむことで自分の内側に備わったハイの回路を思い出すのです。自我を忘れて音楽と一つになったときの至福感、全てとの一体感こそ、ムビ ラ音楽によってたどり着ける最高の境地。確かに、僕はジンバブエの片田舎で3日間ぶっとおしのムビラ儀式に参加した時、音楽と一つになり、地球だけでなく 宇宙と一つになる強烈なハイの感覚に囚われました。裸足で大地を踏みしめてひたすら踊りつづけることで、真にグラウンディングした感覚を味わい、自然と一 つになったのでしょう。

また、この本によれば、音楽の共鳴によって発生する倍音の高周波は脳内にエンドルフィンを発生させる効果があると のこと。倍音が共鳴し合うムビラの合奏は、まさにこの高周波の塊であり、100%のナチュラルトランスミュージックなのです。ゆっくりとしたムビラ演奏を 聴くと人は「癒し系だね」と評価してくれます。それはもちろん正しいけれど、ハイになったときは免疫も高まるそうです。みんなで音楽を奏でて、踊って楽し むことは、受身でリラックスするよりも、もっと強力な癒しなのです。

この本の中でもっとも共感を覚えたのは、本当のエコロジー、現代諸問 題の解決法は地球上の全てのネイティブピープル、そして日本人も古来持っていたであろう自然との一体感を思い出すことにある、というくだり。ディープエコ ロジーの思想と呼ばれているそうです。真のエコロジーは原発を作ったり、燃費の良い車に買い替えたり、森林を伐採してバイオ燃料を作ったり、二酸化炭素を 売買したりすることではない、というのは冷静になれば当たり前のことなのに、みんな情報に踊らされて「情報ハイ」になっているのかもしれませんね。