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ムビラとは

 アフリカの南東部にジンバブエという国があります。そこを中心として住んでいる ショナ族が伝統的に弾いている楽器の一つがムビラです。学術的にはラメラフォン(Lamellaphone)の一種と分類されています。
アフリカといえば太鼓というくらい、楽器として有名なのは圧倒的に太鼓なのですが、実はサハラ砂漠より南のアフリカにはムビラに似たような楽器が広まっています。それぞれの場所で独自の名前で呼ばれているため、一般名称はありませんが、欧米で「Thumb piano」と一般的には呼ばれているので、日本語に訳した「親指ピアノ」と呼ばれることも多いです。
ムビラの音楽構造は親指ピアノの中でもはるかに洗練されており、彼らの信仰や文化と深く結びついています。

ムビラの歴史

アフリカにおいて、サハラ砂漠以南で最大の石造遺跡「グレートジンバブエ」 世界遺産にも登録されている。ショナ族の王国がここにあり、11世紀~13世紀頃に金の貿易などで最盛期を迎えた。この頃から既に儀式としてのムビラ演奏があったとされている。

 アフリカの南東部にジンバブエという国があります。そこを中心として住んでいる ショナ族が伝統的に弾いている楽器の一つがムビラです。
サハラ砂漠より南のアフリカに広まっている親指ピアノ(タンザニアのカリンバが日本でも比較的有名です)の一つですが,ムビラの音楽構造はそれらの中でもはるかに洗練されており、彼らの信仰や文化と深く結びついています。

ショナ族を含むアフリカの多くの民族は、大航海時代にヨーロッパ人が到来するまで文字の文化を持 たず口承で歴史を伝えてきたので正確な起源は不明です。15世紀のポルトガル人宣教師が残した記録にムビラのような楽器について言及されています。ということは少なくてもムビラには500年以上の歴史があると言えるでしょう。

20世紀後半以降アメリカなどで活躍するアーティストも現れて、ジンバブ エ国外にもその素晴らしさが知られるようになり、アメリカやヨーロッパ、そして日本でファンを少しずつ増やしています。一方、現地においては儀式での演奏の伝統が僅かに残り、エンターテイメントとしてのライブハウスでの演奏は行われてますがキリスト教の浸透など西洋文明の影響で消えつつある文化の一つとなっています。

ムビラの儀式

 ムビラは元々儀式で演奏するためのスピリチュアルな楽器です。ショナ族の人たちは日本人にも似て先祖崇拝の伝統を持っています。作物の不出来や何か悪いことが起こると先祖に対していけないことをしたという解釈をして、先祖にアドバイスを受けるために儀式を行うことになります。儀式においては霊媒師がムビラの演奏によってトランス状態になり、先祖の霊が乗り移ると集まった人々に忠告などを与えます。この降霊儀式は神聖な部分もありますが、堅苦しいものではなく、日本の盆踊りにも例えられる楽しいイベントでもあります。ムビラ音楽に乗って人々は日没から夜明けまで一晩中踊って楽しむのです。人々が踊るためのダンス・ミュージックであり、先祖の霊を呼ぶためのトランス・ミュージックでもあるというのがムビラ音楽の特徴なのです。

ムビラの伝説

ムジュル一族に伝わるムビラの伝説

ジンバブエ東部ダンバツォコにはムビラの伝統を守ってきたムジュル家一族が住んでいる。20世紀に生きた故ムチャテーラー・ムジュル氏はムビラプレーヤーであり、霊媒師であった。彼はショナ族の偉大なスピリット、チャミヌカを降霊したと伝えられる。
「ムジュル氏が語ったムビラの起源によれば、ムビラはルサペの北、マウントダーウィンの方角に位置する「ジンバ・リシナ・ムスウォ(扉のない家)」というヨーロッパ人が決して見たことのない土地からやってきたという。

初め、石で出来た扉の無い円形の家の近くに巨大な岩があって、その中から不思議なことにムビラの音色が響いてきた。人々は巨岩からムビラの音楽が聞こえてくるたびに集まった。するとどこからともなく声が聞こえてきて、人々に曲の名前を教えた。人々は声の主が、雨を降らせることのできる偉大なショナ族のスピリット、チャミヌカのものだと信じた。のちにチャミヌカはニャダテと呼ばれる男に憑依(ひょうい)して、彼を通じてムビラを作るように言った。ニャダテは人々にムビラの作りかたを示し、人々は岩に耳をそばだてて音楽を聴き、どうやって演奏するのかを学んだ。ニャダテはスピリットたちがムビラ音楽を大変好むことを人々に伝えたがその後、海に消えてしまい二度と現れることはなかった、、、。」

引用文献 「The soul of mbira」ポール・バーリナー著

ガリカイ家に伝わるムビラの伝説

その昔、ノアの洪水が地球を襲ったあと、だんだんと水が引いてきた。すると水の底から輝くムビラが現れた。黄金のキーで出来ているムビラだった。それを見つけたショナ族の人々が演奏を始めたという。

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